咬み合わせと咬む力
歯列矯正治療を行うことは、歯並びの見た目を改善するだけでなく咬み合わせをよくして噛む力を強くすることにも役立ちます。それまで歯並びが悪いまま過ごしてきた人は、全体的にものを咬む力そのものが非常に弱いという特徴が見られます。最近は若年層でかなり深刻な歯並びの悪さを見せてしまっている人もいるようですが、これらは決定的に噛む力を鍛えて来なかったことによって起こっていると言われています。
人間のものを噛む力は平均して大人の体重と同じ、約60キロ程度と言われています。咬み合わせの悪い人の噛む力を測ってみたところ、この半分以下の数字しか出なかったという報告もあるので、いかに歯並びが噛む力に大きな影響を与えているかがわかります。
なぜかみ合わせの悪さが歯並びを乱すかというと、悪い咬み合わせをしたまま物を噛み続けていることにより、歯のすり減りが非常に偏った方向だけで行われてしまうことになるので、筋肉の発達が正常に行われなくなってしまうのです。また、咬み合わせがずれていることでアゴが斜めにねじれていくので、これが顎関節症など重大な体の不具合になってしまうのです。
人間にはもともと痛みや危険から無意識に逃げることができるような機能が備わっています。そのため、悪い咬み合わせの人の場合、体の負担をさけるため、物を噛む筋肉がわざと発達をしないようになっていってしまうのです。そこでかみ合わせを改善させる治療がされると、正しくものを咬む筋肉が働くようになります。